エピローグ 
プリンセス・カーボン国建国へ

大震災、巨大津波、深刻な原発事故に襲われる

私たちは、午後4時過ぎに蓼科高原にあるロッジに着いた。標高1300m 、カラマツ林の中に点在する丸太で作ったベンチに腰を下ろすと、冷気を含んだ風が通り抜け肌に心地よい。白樺の枝にくくりつけてある温度計を見るとちょうど20°C 。東京と比べると10°C 以上も低いことになる。
今年日本は、未曾有の大災害に襲われた。3月11日発生した東日本大震災である。地震は巨大津波を伴い、岩手、宮城、福島の各県の海岸線に押し寄せ、海辺近くの多くの市町村を一瞬の間に飲み込み、破壊した。さらに津波に襲われた東京電力福島第一原子力発電所は、電気系統が壊され、冷却機能が失われ、放射性物質が原子炉周辺から漏出、飛散するなど深刻な原発事故を引き起こした。
この夏は、福島原発の停止で電力不足が深刻化し、東京電力管内だけで、620万kWの電力が不足する。このため、政府が音頭を取って、昨年夏比15%の節電を一般家庭や企業に呼び掛けている。
今年の夏も昨年を上回る猛暑が続いており、梅雨明けの7月20日頃から東京は35°C を超えるような夏日が続いている。猛暑と節電の二重苦で、東京暮らしに疲労気味の私たちはしばしの涼を求めて、ヒートアイランドの東京から蓼科高原へ逃げ出してきたところだった。
全国各地を駆け回っている野口一郎が、蓼科高原にカラマツとシラカバに囲まれた静かな貸しロッジがあり、何回か利用したことがある、というので、そこで二日ほどゆっくりくつろいで、炭素姫救援のための相談をしようということになった。
午後1時に新宿駅西口に集合し、一郎が友達から借りてきたハイブリッドカーに乗り込んだ。7人乗りの大型車だが、各人の荷物を積み込むと結構いっぱいになった。中央高速は空いており、2時間半程で茅野インターチェンジを降り、ビーナスラインに出て蓼科高原に向かった。途中、蓼科湖を右側に見ながら蛇行する坂道をゆっくりあがり、そこから10分ほどで、ロッジに到着したのである。
大手生命保険会社がバブル時代に保養所としてつくったものだけに、敷地はゆったりとして広く、前方が緩やかな下り坂になっていて、その突き当たりに1000m2ほどの楕円形の人造池がある。池には高原を源とする二つの小川から勢いよく水が流れ込んでおり、池の向こう側には、流れてきた水がたまらないように池の水を下流にながすための小川がつくられている。流れ込む水と流れ出す水の量がうまくバランスがとれている。
池の前に、5、6人が囲んで食事や談笑ができるカラマツでできたテーブルがあり、5人はテーブルの周りに座って寛いだ。
和田ハルカは何度も深呼吸をして「美味しい空気ですね」と湯川雫に話しかけていた。私と大倉完良は池の傍まで行って、池の中を覗き込んだ。小さな魚が群れを組んで泳いでいる。完良が「先生、あれは、亀ではないですか」と池の中央の小さな人工島の方を指差した。そこには空を見上げのんびりと首を左右に振っている子亀がいた。一郎は、芝生の上に仰向けに寝て、青空の中をゆっくり流れていく雲を見つめていた。
先ほどから、ウグイスのさえずりが途絶えることなく聞こえていた。
「春先の若いウグイスは、鳴き方が下手だが、1ヶ月もすると、見違えるように上手くなり、メスへのデモンストレーションも板についてくるそうです」と一郎が昨年来た時にロッジの管理人から聞いた話を皆に披露した。
7月下旬の蓼科高原は、午後7時近くなっても、まだ薄明るく、私たちは、それぞれの思いにひたりながら暮れなずむ高原でのひと時を楽しんだ。

炭素姫救援の第二ステージについて話し合う

翌朝午前7時、朝食はガーデンで食べることになり、カラマツ林のテーブルに皆が集まった。
「昨夜は、久しぶりに良く眠れたわ」
ハルカが両手を空いっぱいに広げ、大きく深呼吸をした後、満足そうに言った。
「エアコンをつけて寝ると、眠りが浅くなってしまうのか、朝起きた時にけだるさが残るが、自然のクーラーは、確かによいね。私も熟睡できたよ」と一郎が同意し、皆も、「その通り」といった表情で頷いた。
テーブルの上には、八ヶ岳農場の搾りたての牛乳とトースト、地元農民から手に入れたという季節の野菜、それにイチゴジャム、ハム、ソーセージ、バターなどが二つの大皿の上にきれいに並べられていた。その脇のテーブルの上には紅茶とコーヒーポットが置かれていた。管理人があらかじめ手配をしておいてくれた近所の農家のおばさんが手際よく準備してくれていたのである。
食事が終わった頃合いを見て、
「今日は、午後から奥蓼科を案内したいと思いますが、その前に、炭素姫救援のための第二ステージについて、少し議論したいと思います。宇沢先生にコーディネーターをお願いします」と一郎が私の顔をみながら言った。
「それでは・・・」と言って、私は簡単にこれまでの勉強会を振り返った。
「この半年の間、私たちは様々な角度から、炭素姫救援のため、CO2削減策について、テーマを分担しながら勉強してきました。まず、なんといっても、CO2を増やさないためには無駄なエネルギーは使わないというケチケチ精神が必要だとハルカ君が自分の家族の話をしてくれました。完良さんは政府のCO2削減運動、雫さんは、CO2削減が実感できなければ効果が期待できないとし「削減のための見える化革命」の大切さを強調しました。一郎さんは化石燃料に代わるエネルギーとして、太陽エネルギーの活用について、夢のある話をしてくれました。そして私は冒頭の勉強会で、システムとして動いている地球のメカニズムについて話をしました。私たちは第一ステージとして、一連の勉強会を通して、炭素姫救援のために必要な知識や考え方、視点を共有することができたと思います。普通の、平均的な日本人である私たちは、炭素姫救援の第二ステージとして何ができるのか、何をしなければならないのかをについて、これから自由に意見交換をしたいと思います」

バーチャル国家、「プリンセス・カーボン国」の建国へ

雫が最初に口火を切った。
「インターネット上に、炭素姫救援のためのバーチャル国家「プリンセス・カーボン国」をつくるという案はいかがでしょうか。奇想天外に思われるかもしれませんが、実はずっと暖めてきた構想です。インターネットを使って、多くの人たちに呼びかけ、賛同してもらい、各人が出来る範囲で、無理せずにプリンセス・カーボン国の建国にはせ参じてもらいます。CO2削減のアイデアや体験談の提供、WEBページの作成やその管理などバーチャル国のマネジメントに当たるバーチャル官僚、バーチャル技術者の参加も歓迎です」
「賛成!」と一郎が大きな声をあげた。
「すばらしいアイデアだと思うよ。普通の、平均的日本人である私たちが数人集まって、世の中を変えることなど不可能だし、そもそもそんな発想、考えたこともなかった。だが、よく考えてみると、時代が大きく変わってきていることは実感している。経済合理性だけを行動基準にせず、世のため, 人のために貢献したいとする NGONPO の存在感が増しているし、利潤極大化を目指す一般企業とは一線を画した社会的企業(ソーシャル・エンタプライズ)も福祉や環境分野を中心に着実に増えてきています。人々の価値観が多様化してきていることの証拠だと思うよ。しかもインターネットの登場で双方向のコミュニケーションが飛躍的に向上し、多様な価値観を拾い上げ、それがひとつの方向に動く時、政治や経済、社会を変える大きな力になってきています。炭素姫救援隊の私たちのように、偶然の出会いからは始まった曖昧模糊としたゆるい組織でも、その主張がはっきりしており、多くの賛同者が得られれば世の中を変えていくことができるかもしれない。雫さんのプリンセス・カーボン国の建国に賛成です」
続いて、完良が話を引き取った。
「一昔前までは、政治を動かすのは政治家と官僚だといわれてきた。これに経済界を加えて、政官財の鉄のアングルという言葉もあり、自民党政権を批判するときの常套句として使われていた時代もあります。しかし今は大きく変わっています。実際に政治を動かすのは世論です。政治家は全国紙やNHKが定期的に行う世論調査の動きに極めて敏感です。私たち霞ヶ関の官僚も世論調査の動向には強い関心をもっています。世論に逆らうような政治はむずかしくなっています。衆愚政治に陥る危険性もはらんでいますが、一方で、世論のバランス感覚に期待する声もあります。政治が過度に一方に傾けば、次の選挙で軌道修正が行われます。インターネットを通して、色々な意見、価値観の交流が進めば、良質な世論形成にも役立ちます。もちろん、その逆もありますが・・・。低炭素社会、太陽エネルギー社会を目指すバーチャル国家、プリンセス・カーボン国づくりに私も賛成だね」

エジプト大統領を辞任に追い込んだのもインターネットの力だよ

「そういえば、今年初め、北アフリカのチュニジアで起きたベンアリ政権の転覆に続いて、エジプトでも30年近く続いたムバラク大統領が民衆の蜂起によって辞任させられた。多くの民衆がインターネットを使って、フェイスブックやツイッターなどによる情報を交換しながら独裁政権の交代を求めて大規模なデモを起こし政権を倒した。「インターネット恐るべし」と改めて感じたが、プリンセス・カーボン国の建国を通して、低炭素社会を実現させ、炭素姫を救うことも夢ではない、そんな気がしてきました」と一郎が再び興奮気味に語った。
「雫案に近い構想は、私も持っていたので、新しい試みとして、挑戦してみる価値はありそうですね」と私も賛成した。

建国宣言に何を盛り込みますか

「プリンセス・カーボン国の建国には、誰でも参加できるわけですね。政党や省庁、企業、 NGONPO 、さらに小学校、中学校、高校、大学、研究所、病院など多彩で、色々な分野で活動している団体が参加できるようにすると良いですね。なんだか、わくわくした気持ちになってきました」とハルカが嬉しそうに言った。
「総理大臣や政党の代表者、中央省庁や企業のトップなど思想、信条の異なる人たちも、プリンセス・カーボン国の建国宣言に賛成してくれれば、ぜひ、個人として、参加してほしいですね。そして、プリンセス・カーボン国の政策を広く、インターネットで国民各層に訴え、世論が形成されれば、それを現実の政府に政策として実施してもらえるようになれば最高ですね。普通の、平均的な私たちでも、世の中を変えることができるかもしれないわ、そんな予感がしてきました」と雫は、自分の提案が予想以上の評価を受けたことに気を良くしたのか頬を紅潮させながら補足した。
「建国に当たっては、独立宣言のようなものあるとよいですね。たとえば、重厚で、格調が高いものではアメリカ独立宣言があります。一方、簡潔なものとしては、明治天皇が政府の基本方針を定めた五箇条の御誓文などもあります。雫さんはなにか原案のようなものがありますか。あれば、それを参考に皆さんで話し合ってみてはいかがですか」と私が尋ねた。
「特に、持ち合わせてはいません。ただ、あまり長いと、読む方が退屈してしまうので、3か条か5か条ぐらいに要点をまとめた簡単なものがよいかなと思います。盛り込むためのキーワードとしては、ローカーボン・エコノミー、太陽エネルギー社会、地球のサステナビリティなどかな、と思っていますが・・・」
「子供たちの戸外活動をもっと推進しよう、というキーワードも加えて欲しいですね」とハルカが意味不明で、意表をつくような提案をして皆を驚かせた。
「ハルカ君、もう少し、詳しく説明してください」と私が言った。
「最近の子供たちは、ファミコンゲームや塾通いで、室内に閉じこもる時間が多過ぎます。家の中にいる時間が多くなれば、室内照明やエアコンなどを使う時間が多くなり、エネルギー消費も増えます。それだけではなく、もっと深刻な問題が起こっています。運動する時間が少ないので、ジャンプ力や100メートル走などの基礎体力が落ち、肥満や視力低下の原因になります。個室でこもりがちなため、コミュニケーション能力も大幅に低下し、対人恐怖症に陥る子供たちが増えています。少なくとも、子供の間は戸外に出て友達と遊んだり、運動したりしながら体力をつけ、気の合わない友達とも折り合っていけるコミュニケーション能力をつけ、バランス感覚のとれた大人になってもらいたい。プリンセス・カーボン国は、健全な子供たちの育成を願って、戸外で自然を観察したり、水遊びを楽しんだり、スポーツ活動に積極的に参加することを大切にする国であって欲しい、ということです」
「なるほど。ハルカ君の説明には、それなりの説得力がありますね。他に何かご意見はありませんか」と私が言うと、
「これまでの議論で、必要なことはほぼ出尽くしたと思います。建国宣言は、できるだけ短く、簡潔にすることに私も賛成です。宇沢先生に原案をつくっていただき、その上で、改めて皆で検討したらどうですか」と完良が言うと、「賛成」と皆も頷いた。
「それでは、炭素姫救援の第二ステージとして、バーチャル国家、プリンセス・カーボン国の建国宣言の原案は、私が引き受ける、ということで、よいですね、それでは今日の会議はここまでです」と言って、私は午前のフリーデスカッションを締めくくった。

奥蓼科の御射鹿池を訪ねる

午後から一郎の車に乗って、奥蓼科の御射鹿池(みしゃかいけ)に向かった。ロッジに来る時、利用したビーナスラインを今度は逆に下って、芹ケ沢で、メルヘン街道に出て、10分ほど走り、奥蓼科の表示にしたがって左に折れ、湯みち街道に入った。湯みち街道に入ると、途端に人家がまばらになり、山沿いの曲がりくねった坂道が続いた。蓼科湖から車で20分程の距離だが、土産店やホテル、旅館、別荘などが集中している蓼科湖周辺の中心部と比べ、いかにも山の中にきたといった静かな雰囲気になる。最近ニホンシカが路上を頻繁に横切る姿が目撃されているそうだ。
「あと10分位で、御射鹿池に着きます」と一郎が言った。一郎お薦めのこの池は、奥蓼科温泉の入り口近くにある農業用の温水ため池である。標高1000m前後の高地にあるこの一帯の水田は、田植えの時期、八ヶ岳から流れてくる雪解けの水を引くと、冷たすぎて稲が育ちにくい。それを防ぐため、この地方では昔から農民の知恵として温水のため池をつくりその水を利用している。この池が一躍有名になったのは、信州の自然をこよなく愛した画家、東山魁夷の名画「緑響く」のモデルになった場所のためだ。湖面の対岸にはいく層にも重なり合うようにして緑のカラマツ林が連なり、その緑のカラマツが鏡で映したように湖面に鮮やかに再現されている。本物と湖面に映ったカラマツ林の境界線を一頭の白馬が歩いている。その白馬も湖面にその姿が映っている。
昨夜、一郎が用意してくれた「緑響く」の画集を見て、画伯がこの絵に込めた緑への並々ならぬ愛着を感じ、ぜひ行ってみたいという気持ちになっていた。
私たちは、道路沿いに車を止めて、御射鹿池の岸辺まで降りていった。実際に見る池の対岸の森は「緑響く」のブルーに近い緑ではなく、萌黄色の緑だったし、いく層にも重なり合っている山沿いのカラマツ林も絵ほど整然としたものではなかったが、水面に映し出される森と青空と雲が織りなす幻の自然、実際には存在しないバーチャルな世界と本物の世界がかもし出す対照の美しさに引き込まれ、私たちはしばし言葉もなく、黙って、水面を見続けていた。

炭素姫と再会する

少し霧が出てきた。先ほどまで対岸の森の上は、夏の青空が支配し、その片隅に小さな白い楕円形の雲が二つ並んで浮かんでいた。しかし、今見ると森の奥から霧がむくむくと湧き出し、あっという間に池全体を覆い始めた。気温も急に冷えてきた。私たちの他に、数組の見物者がいたが、彼らは慌てて帰り支度をして、車に乗り込んで行ってしまった。霧に包まれるようにして残ったのは、私たちだけだった。
この時、雫のネックレスの先端にあるダイヤモンドが急に光を帯びて輝いた。彼女は炭素姫からもらったダイヤのボタンをネックレスの飾りとして着けていた。
「変ね、このボタン突然輝き始めたわ。どうしたんでしょう」と雫が言った。ハルカは反射的にお守り袋からボタンを取り出したが、ハルカのダイヤのボタンも光を帯びて輝いていた。
一郎、完良、そして私も、今度の合宿のため、わざわざ持参したダイヤモンドのボタンをポケットから取り出したが、いずれも同じようにキラキラ輝いていた。
5人は手のひらにボタンを乗せ、その不思議な輝きに見とれていた。その時、5つのボタンが1メートルほど浮き上がり、一つに融合してさらに大きな輝きとなり、霧で覆われた湖面を照らしたように見えた。
30秒ぐらいたっただろうか。霧が少しずつ晴れてきた。
「緑響く」の白馬がいた辺りに何か人のような姿が見えた。その姿は湖面を滑るように近づいてきた。白のワンピース姿の炭素姫だった。
「また、お会いできましたね」
南部鉄でつくった風鈴の音のような、澄んだ懐かしい声が私たちに語りかけてきた。ボルネオ島からほぼ1年ぶりの再会である。
「皆さんが、私のために、この1年、忙しい時間を割いて、勉強会を続けてきたことは、承知しています。本当に有難うございます。今回も、合宿をして、第二ステージの議論をしていただき、感謝しています」
彼女の表情は、1年前と比べ、血色がよく、ずっと元気そうに見えた。ボルネオ島で会った時は半病人のように、顔は青ざめ、元気がなかったように見えたが、今回は見違えるように健康そうな表情をしていた。2人の童女も静かな笑みを浮かべて炭素姫の後ろに従っている。

「CO2悪者説に反対です」と根岸英一さん(ノーベル化学賞受賞者)

「皆さんが勉強会で学んでいただいたように、CO2がなければ、植物は光合成ができず、食糧不足で、人間だけではなく、すべての動物は生きていけません。ただ便利だからといって、化石燃料を使い過ぎた結果、CO2の排出を増やし過ぎて、温暖化を引き起こってしまったわけですから、この点さえ改めていただければ、昔のように、炭素族と人間社会との好ましい関係が復活できるのではないかと思います」
「そういえば、昨年ノーベル化学賞を受賞された根岸英一、鈴木章さんの2人の科学者は、クロスカップリング反応の研究が評価されたものでしたね。プラスチックや医薬品、電子材料などの工業製品の多くは有機化合物でできています。有機化合物は炭素原子が複雑に絡み合った骨格を持っています。炭素原子を自在に操って、必要な有機化合物を人工的に合成することで、人間社会に大きな貢献をしています。2人の受賞理由が、有機化合物の人工的合成の研究だと知って驚きました」と一郎が最近調べたばかりの薀蓄を披瀝した。
「根岸教授は、CO2悪者説には反対だと新聞のインタビューでいっていました。CO2は植物が光合成によって有機物をつくる際の原料なので、CO2がなければ、食料生産ができなくなる。それを悪者扱いするのはいかがなものかと。人工的に光合成ができるようになれば、CO2を食料やエネルギーに変えることができるので、将来予想される食糧危機やエネルギー不足を回避できるのではないか。この研究はノーベル賞の二つや三つとれる大仕事だが、挑戦してみたいと、根岸教授は、仲間を募って文部科学省に研究のための助成金を働きかけています」と雫も話に加わった。
「炭素の新しい役割が評価されてとれもうれしいです。炭素族はもっともっと、人間社会に貢献できる可能性を持っていると思います」と炭素姫はうれしそうに大きくうなずいた。

「第二ステージ楽しみですね」と炭素姫


そして、
「第二ステージの展開を楽しみにしています。またお会いしましょう」と言って、彼女は再び湖面の向こう側に向かって静かに歩き出した。
「緑響く」の白馬のいた辺りに着いたとき、炭素姫は私たちに向かって振り向き、小さく手を振り、次の瞬間、2人の童女と一緒に白馬に乗って、緑のカラマツ林を駆け上がり、あっという間に見えなくなってしまった。
私たちは、夢と現実の境界をさまよう様な不思議な精神状態の中で金縛りにあったように動けずにいた。1年前、ボルネオでの体験と同じような状態に陥っていた。しばらくして気が付くと、5人ともボタンをしっかり握り締めていた。
「不思議なことがあるものですね。炭素姫と再会できるなんて考えもしなかった。彼女のためにも頑張らなくてはね」、とハルカが小さな声で呟くようにいった。たとえようもない不思議な高揚感が再び5人の心を支配していくのが分かった。
それから3日後、私は炭素姫救援隊のメンバーに次のような「カーボンプリンセス・カーボン国建国宣言」案をメールで送信した。

プリンセス・カーボン国建国宣言

炭素姫が安らかな眠りを楽しめる国づくりを目指す。
この目標を実現するため
  1. 持続可能な地球を回復する
  2. ローカーボンエコノミー(低炭素経済)へ移行する
  3. 太陽エネルギー社会を構築する
  4. 心身健全な次世代の子供たちを養成する
この建国宣言に賛同するすべての人々を建国の同志として歓迎する

プリンセス・カーボン国建国発起人
代表 宇沢 寛次

化石燃料:かせきねんりょう

(fossil fuel)石油、石炭、天然ガスなど地中に埋蔵されている燃料資源の総称で、石油はプランクトンなどが高圧によって変化し、石炭は数百万年以上前の植物が地中に埋没して炭化、天然ガスは古代の動植物が土中に堆積して生成されたものであるという説から化石燃料と呼ばれている。化石燃料は、輸送や貯蔵が容易であることや大量のエネルギーが取り出せることなどから使用量が急増し、これらの燃料は燃やすと二酸化炭素(CO

1次エネルギー、石油、無機起源説

NPO:エヌ ピー オー

(Non-Profit Organization)「民間非営利団体」「民間公益組織」。非営利(利潤追求・利益配分を行わない)であると同時に、非政府である(政府機関の一部ではない)こと、自主的、自発的に活動を行うこと、を特徴としている。狭義には、特定非営利活動促進法(1998年 3月成立)により法人格を得た団体(とくに、 NPO 法人と呼ぶ)を指す。具体的には、市民活動団体、ボランティア活動の推進団体、公益法人の一部などが該当する。一般的には、会費などによって資金を確保し、民間の立場で社会的に意義を持つ分野(医療、福祉、環境、文化、教育、国際協力などの諸分野)で草の根的に行われる活動をいう。利益の配分を行わない組織・団体という意味では、広義には、社団法人や財団法人、医療法人、学校法人、宗教法人、生活協働組合、地域の自治会なども、広義の NPO である。

NGO

社会的企業:しゃかいてききぎょう

(Social Enterprise)社会的目的を主として掲げる企業。収益は株主のためではなく、事業やコミュニティに還元される。欧州では、教育機会に恵まれず、職に就けない若者や障害者を雇いいれる事業体をいう。地域社会に貢献するという目的を優先して利益は社会のためになる事業に再び投資する企業を指す。英国の「コミュニティ利益会社」、イタリア・スペインの「社会的協同組合」のように、法人格を設ける国も出現している。とくに、「小さな政府」と手厚い公共サービスの両立を模索する英国労働党政権が旗を振る新しいタイプの事業体で、 2001年 10月、貿易産業省に「社会的企業局」を設けるなど、失業中の若者や障害者の雇用といった社会的な目的を優先させている。行き過ぎた格差社会を是正する役割も期待されている。障害者やホームレスを雇い入れたり、医療や教育など公共性の高いサービスを事業家したり、国や地方自治体のような役割も担っている。

特になし

NGO:エヌ ジー オー

(Non-Government Organization)非政府組織。民間団体。もともと、国連で使われていた用語で、政府の代表ではない民間団体を意味している。政府間の協定によらない民間団体のことで、国連経済理事会との協議資格を認められた団体を指す。その活動は主に、政府主体の国際会議への出席や、軍縮・人権・地球環境保全など、国境や国家の政策を超えたグローバルな問題における市民間の相互協力に重点が置かれた。最近では、協議資格の有無に関係なく、非営利で非政府という NPO 的な市民団体全般を指すこともある。日本では、単に国際的に活動する民間非営利組織を NGO と呼んでいる。

NPO

NPO:エヌ ピー オー

(Non-Profit Organization)「民間非営利団体」「民間公益組織」。非営利(利潤追求・利益配分を行わない)であると同時に、非政府である(政府機関の一部ではない)こと、自主的、自発的に活動を行うこと、を特徴としている。狭義には、特定非営利活動促進法(1998年 3月成立)により法人格を得た団体(とくに、 NPO 法人と呼ぶ)を指す。具体的には、市民活動団体、ボランティア活動の推進団体、公益法人の一部などが該当する。一般的には、会費などによって資金を確保し、民間の立場で社会的に意義を持つ分野(医療、福祉、環境、文化、教育、国際協力などの諸分野)で草の根的に行われる活動をいう。利益の配分を行わない組織・団体という意味では、広義には、社団法人や財団法人、医療法人、学校法人、宗教法人、生活協働組合、地域の自治会なども、広義の NPO である。

NGO

NGO:エヌ ジー オー

(Non-Government Organization)非政府組織。民間団体。もともと、国連で使われていた用語で、政府の代表ではない民間団体を意味している。政府間の協定によらない民間団体のことで、国連経済理事会との協議資格を認められた団体を指す。その活動は主に、政府主体の国際会議への出席や、軍縮・人権・地球環境保全など、国境や国家の政策を超えたグローバルな問題における市民間の相互協力に重点が置かれた。最近では、協議資格の有無に関係なく、非営利で非政府という NPO 的な市民団体全般を指すこともある。日本では、単に国際的に活動する民間非営利組織を NGO と呼んでいる。

NPO

サステナビリティ:サステナビリティ

(sustainability)持続可能性。環境破壊や資源枯渇などの問題が深刻化してくる中で、有限な地球と折り合って生きていくための新しい概念として登場してきた。現在のような豊かな生活をするために、資源を過剰に消費し、有害物質を自然界に過剰に排出し続ければ、現代世代は生活を楽しめるが、将来世代は劣悪な自然環境の中で暮らさなければならなくなる。過去、現代、未来を生きるすべての人類世代が豊かな地球の恵みを継続して、公平、平等に享受できる地球の利用の仕方が求められる。それがサステナビリティである。そのためには、@有限な地球の認識、A生態系の完全な保全、B将来世代への利益配慮などが必要条件になる。国連ブルントラント委員会が 1987年に出した報告書の中で、「持続可能な開発」について定義をしている。

ブルントラント委員会

光合成:こうごうせい

植物が光のエネルギーによって大気中の二酸化炭素と水から有機物である炭水化物を合成すること。これによって二酸化炭素は固定され、酸素が発生する。光合成細菌の場合、光エネルギーによって二酸化炭素の固定を行うが、酸素は発生しない。1年間に地球上の陸上植物が光合成により固定する炭素の量は約 5.5× 1010トンで、海洋植物によるものが約 3.5× 1010トンと推定されている。

特になし

化石燃料:かせきねんりょう

(fossil fuel)石油、石炭、天然ガスなど地中に埋蔵されている燃料資源の総称で、石油はプランクトンなどが高圧によって変化し、石炭は数百万年以上前の植物が地中に埋没して炭化、天然ガスは古代の動植物が土中に堆積して生成されたものであるという説から化石燃料と呼ばれている。化石燃料は、輸送や貯蔵が容易であることや大量のエネルギーが取り出せることなどから使用量が急増し、これらの燃料は燃やすと二酸化炭素(CO

1次エネルギー、石油、無機起源説

温暖化:おんだんか

特になし

地球温暖化

食糧危機:しょくりょうきき

(food crisis)米、元ワールド・ウオッチ研究所所長(現アース・ポリシー研究所所長のレスター・ブラウンは、その著書「誰が中国を養うのか」の中で、「2030年、中国の穀物不足量は 2億 7, 000万トンから 3億 6, 900万トンに達する。世界はそれだけの穀物を供給できない」と述べて大きな反響を呼んだ。中国に限らず、インドをはじめ発展途上国の人口増加により世界人口は 65億人に達し、いまも増え続けている。21世紀は、軍事的な安全保障もさることながら、食糧危機に対して食糧安全保障の重要性が叫ばれている。20世紀は、 1960年代以降食糧過剰時代と異常気象による食糧不足時代が繰り返されてきたが、 21世紀になって、気候変動なども影響して世界各地で深刻な水不足、土壌流失、砂漠化の進行など食糧需給はますます厳しい方向に向かいつつある。それに、農業の世界的な市場経済への移行も手伝って需給の不安定性を増している。そして、先進諸国と途上国との食糧に関する格差はますます広がり、飽食と飢餓が並存している状態である。日本では、残飯など食糧廃棄物の量が年間 1, 130万トンといわれ、一方世界の食糧援助量が 1, 000万トンというまさに飽食の国である。フード・マイレージは世界最大で、自給率はカロリー・ベースでも 40%という現実は、まさに食糧危機といえる。

特になし

光合成:こうごうせい

植物が光のエネルギーによって大気中の二酸化炭素と水から有機物である炭水化物を合成すること。これによって二酸化炭素は固定され、酸素が発生する。光合成細菌の場合、光エネルギーによって二酸化炭素の固定を行うが、酸素は発生しない。1年間に地球上の陸上植物が光合成により固定する炭素の量は約 5.5× 1010トンで、海洋植物によるものが約 3.5× 1010トンと推定されている。

特になし

 
 
 
©2012 tadahiro mitsuhashi